一歩ずつ、一歩ずつ

中途失明しても問題なく生きていくための準備をつづっています。

目の見えない人は世界をどう見ているのか 前編

本のタイトルそのままのことを思って読み始めた本『目の前ない人は世界をどう見ているのか』。
著者の伊藤亜紗さんが、目の見えない人たちの話や、様々な知見を読みやすくまとめてくださっています。

5章から成るうちの、現在は2章まで読み終わったところ。

第1章は視覚障害者がどのように空間を捉えているか、第2章は五感などの感覚の使い方について。

ここまでで特に興味深かったのは、晴眼から中途失明をした人には、世界の捉え方にどのような変化があったか、という話。(この本の何箇所かに点在している。)

①コンビニの陳列棚、電車の吊り広告、風景など、町の中には大量の視覚情報が溢れていて、晴眼者はそれに踊らされながら生きている。失明するとそれが急になくなるので、情報への飢餓感を味わうが、視覚情報に踊らされないことで心の安定感がもたらされもする。

②晴眼のときは「触る」でしかなかった感覚が、失明してからは「見る」に近づいていく。失明してすぐは犬を触っても毛のかたまりでしかなかったが、今は触ったものが人の肩だとわかると、その先の腕や手が「見えて」くるようになっている。触覚の先に視覚的感覚があるのは、もともと晴眼だったからこその感覚だろう。

 

見えなくなるのはちょっと、いや、けっこう怖い。
でもそこに新しい扉があるのだとも思うと、少し希望の光を感じることもできる。